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未払決算賞与を計上する際は支給額の通知に注意しよう

税金

未払の決算賞与を経費に計上する際の要件として、期末までに賞与の支給額を全従業員に通知するというものがあります。


この通知の要件ですが、税務調査の現場ではなかなかに厳しくチェックされるようです。


先日も納税者がこの未払決算賞与の件で重加算税を賦課された裁決を読む機会がありました。
※2023年12月13日 TAINSコード:F0-2-1233

支給額の通知の要件は甘く見てはいけない

未払決算賞与を計上する際にはいくつかの要件がありますが、中でも期末までに支給額を全従業員に通知するという要件がくせ者です。


たとえば次のような注意点がよく挙げられていますね。

  • 就業規則等の記載内容によっては一発アウト
  • 具体的な支給額の通知でないといけない
  • 全従業員に通知をしないといけない

先日も未払決算賞与の件で納税者に重加算税が賦課された裁決を読む機会がありました。


詳しい内容は書きませんが、その事案では、口頭で期末日に給与の0.5ヶ月分の賞与を払う通知をしたうえで、翌月25日に賞与を支給し、未払決算賞与を計上していたようです。


そして、その未払賞与が否認され重加算税も賦課されたという結果でした。


否認された理由ですが、まず、あくまで口頭の通知自体は意外と問題がないような書きぶりでした。
※これは意外です。通常は通知書を用意して従業員からハンコを貰うといった対応が推奨されますので


それでも、給与等の0.5ヶ月分といった内容の通知では支給額が確定的ではないことや、納税者が作成した通知書の印刷日が支給をした月で確認ができたといった点から否認されてしまったようです。


また、税務調査の現場では、この支給月以降に印刷されたであろう通知書が期末日に渡しているものとして提出されたということで、これら一連の行為が重加算税の適用要件である仮装行為に該当すると判断されたそうです。


なお今回の事案は、未払決算賞与で初めて重加算税が賦課された事案のようです。

○○だったことにしようはリスクが高い

今回の裁決を読んで感じたことは、やっぱり税金の世界では○○だったことにしようというのはリスクが高いということです。


決算賞与で言えば、決算の数字ができあがるのが遅くて、期末を過ぎてからその計上の判断をするときもあると思いますが、それでは遅いわけです。


ついつい期末までに通知したことにしようとか、バッグデートで通知書を作成して従業員からハンコを貰いつつ、調査があったらいらんことは言わないように口止めすれば大丈夫だろうと考えがちです。


まあ、実際そうすればなかなかバレないかも知れませんが、それでも今回の裁決でも通知書の印刷日まで調べ上げたりしてくるわけで、また賞与の支給から数年が経った調査の場面で従業員が想定通りの回答をしてくれるかも定かではありません。


そうするとやっぱり、あとから通知をしていたことにしようと体裁を整えるのはリスクが高いなと。


今回の裁決で重加算税が賦課されてもしまいましたが、今後の調査ではそれを踏まえて強気に攻められることも想定されますしね。

まとめ

今回は未払決算賞与の計上で重加算税が賦課される結果になった裁決を読んで考えたことを書いてみました。


未払決算賞与の計上は何かと気に掛けることや通知書を揃えるといった手間も多いです。


そして否認されるリスクもあり最悪重加算税も課税される可能性もあるとなると、割に合わない処理になるのかなと思います。


こんなことでアレコレ考えるくらいなら、さっさと期末までに賞与を支給するようにした方がベターなのだと思います。


そのために賞与の支給の判断を早めにできるように日頃から経理を進めておくことが肝要なんだと思います。


■編集後記
昨日はあさんぽで志木市役所に行ってきました。
最近愛犬にあまりかまってやれていなくて忍びなかったのでいつもより長めの散歩になりました。
油断するとついつい息子ばかりになって愛犬は後回しになりがちです。
愛犬もそこらへんは分かっているのか、一歩引いた素振りを見せるのがなかなか健気なのですが、こうやって適度にバランスはとってあげたいなと思っています。

■一日一新
スタバふじみ野清見店
GARLAND ケーキ屋さん