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空き家の譲渡特例でヒヤリとした話

税金

今回は空き家の譲渡特例でヒヤリとした話を書いてみようと思います。

空き家の譲渡特例でヒヤリ

先日、空き家の譲渡特例の申告を検討する機会がありました。


二次相続で母が住んでいた実家を、すでに実家を離れている子供が相続し特例の要件を満たす形で売却するそんなよくあるケースです。


今回の事案では、相続財産は自宅と預貯金くらいで一次相続と二次相続ともに相続税の申告は不要でした。


したがって相続の段階では税理士の関与はなかったわけです。


そして、問題なのが自宅の登記です。


一次相続のときに自宅についての登記をスルーしてしまい、二次相続の段階で登記をしていないことに気付いたようです。


このとき相続人(子供)は実家を売ることと、空き家の譲渡特例を適用することはすでに検討していたそうです。


しかし登記を依頼した司法書士の方とのやりとりで、登記費用を節約するとかそういう話になったのか分かりませんが、一次相続の段階で子供が自宅を相続したように登記をしてしまったようです。


これだと、一次相続の段階で相続していますので、今回の売却で空き家の譲渡特例を適用することは難しそうです。


既に役所から「被相続人居住用家屋等確認書」という書類を貰ってもいたので、気付いたときには愕然としました。


こんなこともあるんですね。


と同時に割とこのような事例ってこれからもありそうだなと思いました。

司法書士は登記のために遺産分割協議書を作成する

さて、今回の事案ですが、何が問題だったのでしょうか。


もちろん、一次相続のときにきちんと父から母へ所有権が移転したことを登記しておけばというのがまずあります。


また、二次相続の段階でも空き家の譲渡特例の適用を検討しているなら、それに合わせて遺産分割協議書を作成し登記もするべきだったと言わざるを得ません。


ただ、これを担当した司法書士の方に求めるのも酷なところがあるような。


司法書士の方の立場に立てば、仕事は登記することであって、その後の売却に係る税金も考慮した登記をすることではありません。


また、今回は直接影響はありませんが、司法書士の方が作成した遺産分割協議書で、登記に関係した財産しか協議書に盛り込んでいないケースが散見されます。


実際今回のケースでも自宅についてしか言及していない協議書だったようです。


こういうのは税理士の立場だと解せないなと思ったりするのですが。


まあ、それも司法書士の方の立場で税理士が行うような財産状況のヒアリングなんてなかなかできないでしょうし。


税務が絡んでくれば最悪税理士法的にアウトとかそういう話にも繋がるでしょうから、やはりそういった対応になるのは仕方がないのかなと思ったりします。


逆に司法書士の立場からしたら、税理士の作成した遺産分割協議書でwhyと感じることもあるでしょうから。


お互い様かなと思います。


ただ、今回の事案のように、決して専門家に遺産分割協議書の作成を頼めば万事問題ないとは限らないということは頭に置いておくといいのかなと思います。


特に、税金が絡みそうなときはやはり税理士にチェックをしてもらうそんな心積もりが肝要かなと思います。

まとめ

今回は空き家の譲渡特例でヒヤリとした話を書いてみました。


今年は譲渡の申告を見る機会が多いですが、当たり前ですが特別控除は税額へのインパクトがとても大きいです。


適用できると思っていたものが適用できないとなったときの落差はなかなかです。


また、その逆も然りです。


特別控除の適用を検討している場合は、売却前からきちんと適用要件を確認しておきたいものですね。


申告の段階であーだこーだ言ってももう遅いということがほとんどですから。


なお、今回の事案ですが、どう決着を着けるべきでしょうか。


実家の所有についてその実態は完全に母の所有だったように思えます。


固定資産税の通知や役所から件の確認書を取得したことその他諸々からの判断です。


そうなると錯誤登記で実態に合わせればそれで特別控除が適用できるという判断でも良さそうですが。


すでに遺産分割が一度成立しているから、贈与税云々の話にもつながるかもとも思いますが、母はすでに亡くなっていますし、今回はあくまで一次相続で母に相続させるというワンクッションを入れるものなので、贈与税云々とはまた違うような。


個人的には登記をやり直して、リスクを承知で勝負をかけるでいいと思いますがどうでしょうか。


■後日追記
どうも、このようなケースは数次相続で相続して、空き家の譲渡特例を適用するケースといった表現で解説されているようです。


まあ、今回の事案だと一次相続から二次相続までの期間が20年程空いていますので数次相続と呼ぶのはふさしくない気もしますが。


そこでは、どうも遺産分割が整うまでは相続人全員が共有で相続したものとして計算をするような意見が見受けられました。


なるほど、たしかにそれはそれで納得できるような。


でも、実態がな~と思えてならないのですが。


これはやっぱり難解ですね。


■編集後記
今日はライオンズのチケットの先行販売の日でした。
狙っていた開幕3連戦の抽選が外れてしまいましたが、やっぱり行こうと思って15時の先行販売開始に合わせてサイトで待機していました。
無事チケットをゲットしました。
当日が楽しみです。

■一日一新
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