建物を売る場合、その売却益は譲渡所得として課税されます。
譲渡所得は売却収入－取得費－譲渡費用で計算されますが、このうち建物の取得費の計算では減価償却の計算が必要になります。
つまり、建物については過去の購入価額が取得費になるわけではなく、その購入価額から期間経過による価値の低下（減価償却）を加味するわけです。
そこで、今回は自宅を賃貸に出した後に売ったときの建物の減価償却の計算についてまとめてみようと思います。
自宅であった期間と賃貸に出していた期間で減価償却の計算が異なる
建物の取得費を計算する上での減価償却の計算方法は、自宅であった期間と賃貸に出していた期間で異なります。
なお、税務的にはこの自宅であった期間を非業務用の期間、賃貸に出していた期間を業務用の期間と呼んだりします。
そして自宅であった期間については、これも専門用語ですが減価の額というものを計算して、その結果をその期間の価値の低下として捉えることになります。
後述する減価償却費の計算で用いられる耐用年数というのは、仕事で利用するならこの資産はこれくらい持つよねということで指定されているものになります。
一般に仕事で使う場合の方がプライベートで使うより同じ資産でも利用できる期間（寿命）が短いと考えられます。
そのため自宅であった期間の減価償却の計算では、通常の耐用年数に1.5を乗じた年数を耐用年数として減価償却の計算をすることになっているのです。
※計算方法は旧定額法で固定
そしてこの計算なり、計算結果のことを減価の額と呼んだりするわけです。
一方、賃貸に出していた期間については、その賃貸収入に係る不動産所得の計算で減価償却費として計上した金額をその期間の価値の低下分として捉えるという理解で問題ありません。
本来は賃貸に出してからの期間で各年の減価償却費を計算して、それを合計するなりして取得価額から控除するという理解が正しいかも知れませんが。
きちんと不動産所得の計算で減価償却費の計算ができていて、特別償却といったイレギュラーな計算をしていなければ、決算書の固定資産台帳に記載されている減価償却費の金額を集計してあげれば、それを業務用期間の価値の低下として捉えて問題ないでしょう。
※決算書がなければ結局手計算で対応することになります
その他の注意点アレコレ
ここまで、自宅を賃貸に出してから売る場合の建物の取得費の計算では、自宅であった期間と賃貸に出していた期間に分けて減価償却の金額を計算し控除するという話を書きました。
そこで細かい注意点を確認してみようと思います。
まずは賃貸に出してからの減価償却費の計算をする際に採用する償却方法や耐用年数についてです。
この点、その自宅を購入した時（建築したとき）のタイミングで業務に利用したものとして適用される償却方法や耐用年数を用いて計算をすることになります。
たとえば、自宅を平成19年の3月以前に購入していれば、たとえ賃貸に出したタイミングがそれ以降でも旧定額法で減価償却費の計算をするわけです。
※平成19年の4月1日の取得を境に定額法での償却が求められます
また、耐用年数についても賃貸に出したタイミングを基準にするのではなく、あくまで自宅を購入したタイミングで判断することになります。
特に自宅が中古物件の場合、中古耐用年数の特例を適用する際には、賃貸に出しタイミングでの経過年数ではなく、あくまで当初の購入時の経過年数をベースに中古耐用年数の計算をしますので注意が必要です。
最後に、建物を売却する年の減価償却費の計算ですが、これは不動産所得の計算で減価償却費を経費に計上するなら、その金額は取得費の計算では控除が必要です。
一方で不動産所得の計算で減価償却費として計上しないことで、取得費の計算ではその金額を控除しなくてもいいことになっています。
つまり、売却年の減価償却費については不動産所得の計算で経費に計上するか、譲渡所得の計算で取得費として経費に計上するかの選択が可能です。
不動産所得は総合課税で譲渡所得は分離課税なので、それぞれの税率を見て有利な方を選択できるのわけですね。
まとめ
今回は自宅を賃貸に出した後に売ったときの減価償却の計算についてまとめてみました。
自宅として利用していた期間と賃貸に出していた期間で減価償却の計算が異なりますので注意しましょう。
また細かく忘れがちな論点がチラホラあります。
定期的に復習しないと忘れてしまいますね。
■編集後記
昨日は豆ごはんを調理しました。
調理と言っても適当に洗った豆と酒、少しの塩を炊飯器に入れてご飯を炊くだけですが。
豆ごはんは子供の頃は美味しさが理解できませんでしたが、大人になって食べると美味しいです。
豆というとうすいえんどうという品種があるそうです。
食堂のおばちゃんという小説でちょいちょい登場する品種です。
今度取り寄せてまた豆ごはんを作ってみようと思います。
■一日一新
豆ごはん 調理
