小規模宅地等の特例は申告期限前に売買契約をしても適用できるのか

相続

相続した自宅について小規模宅地等の特例を適用する場合、基本的に相続税の申告期限まで所有・居住の継続要件があります。

今回は、この継続要件について、申告期限前に自宅の売買契約を結んだときの考え方を簡単にまとめてみようと思います。

小規模宅地等の特例には所有・居住の継続要件がある

自宅について小規模宅地等の特例を適用する場合で、配偶者以外の親族が特例を適用するときには、原則として、相続税の申告期限まで、自宅の土地を所有し、また、その自宅に居住していることが必要です。

つまり、相続した自宅の土地を売却する場合には、申告期限まで所有と居住を継続しているかどうかがポイントになります。

では、申告期限前に売買契約を結んだ場合はどうなるのでしょうか。

引渡しが申告期限後であれば適用できる

申告期限前に売買契約を結んだとしても、申告期限の時点で土地の所有権を有し、引き続き自宅に居住しているのであれば、小規模宅地等の特例を適用できます。

ポイントは、売買契約を結んだ日と、土地の所有権が移転する日を区別して考えることです。

一般に土地の所有権は残代金の決済後に移転されることが多いと思いますが、申告期限後に残代金の決済があり土地が移転するということであれば、所有継続要件を満たすことになります。

なお、いわゆる家なき子特例の場合を除き、居住継続の要件もあります。

土地を売却することになっていても、申告期限までは自宅に住み続けている必要がある点にも注意が必要です。

また、民法上は、所有権の移転時期について特約がない場合、売買契約の締結時に所有権が移転するという考え方があるようです。

そのため、申告期限前に売買契約を締結する場合には、所有権の移転時期について契約条項を確認しておくことが大切です。

所得税の譲渡所得を契約日を基準に申告しても問題ない

自宅を売るということは、基本的に譲渡所得の申告が必要になります。

そこで、譲渡所得の申告では、たとえば年をまたいで売買契約と実際の引渡しが行われた場合、契約日と引渡日のどちらを基準に申告するかという問題があります。

この点、譲渡所得は原則として引渡日を基準に申告しますが、納税者の選択により、契約日を基準に申告することも認められています。

ここで注意したいのは、所得税の譲渡所得の申告と、小規模宅地等の特例における所有継続要件は、分けて考える必要があるということです。

つまり、所得税の譲渡所得について契約日を基準に申告したとしても、それだけで小規模宅地等の特例が適用できなくなるわけではありません。

小規模宅地等の特例は、それ単体で、相続税の申告期限まで所有・居住を継続しているかを考えていくことになります。

とはいえ、余計な詮索をされないように、配偶者以外の方が自宅を相続して小規模宅地等の特例を受けるなら、相続税の申告期限まで売買契約を結ぶのは我慢するのが無難かなと思います。


■編集後記
今日は寒かったですね。
朝、ゴミ出しや保育園の送迎で外に出たら、思わず「寒っ」と声が漏れました。

それでも、1日ずっと半袖で過ごしましたが。
夜の散歩も寒いな~と思いつつ、歩いているうちに徐々に体が温まって、気にならなくなりました。

■一日一新
大村庵